その名を口にすると、香ばしい肉の焼ける音が遠くから聞こえてくるようです。英語圏の食卓から生まれたこの言葉は、日本人にとっても「ご馳走」と言える肉になりました。骨に抱かれた肉は、火を通すことで芳醇な香りを放ち、噛みしめるほどに濃厚な旨味が広がります。シンプルながら奥深い魅力を秘めてたこの肉。この小さな一片には歴史があり、文化があり、食欲をそそる魔法があるのです。

そして、それを「ラムチョップ」と親しみを込めて呼ぶあなたの心には、きっと美味なるものを慈しむ感性が宿っています。

この言葉が紡ぐ物語を味わいながらまずは一口。その奥に潜む、至福のひとときを楽しんでほしいのです！

そんなわけで、７年ぶりのラムチョップ祭り開催致します！！まずは、知っているようで知らなかった！「ラムチョップ」を世界で誰よりも深く考察してみましょう。

What is a lamb chop?

この言葉は、英語の 「Lamb（子羊）」 と「Chop（骨付きで切り分けられた肉）」 から成り立っています。「Chop（チョップ）」という単語は、中世英語の choppen（切る、叩き切る）に由来し、18世紀には肉を骨付きで切り分けた部位を指すようになりました。そのため、「ラムチョップ」＝「骨付きで切り分けられた仔羊肉」 という意味になりました。

日本で一般的に「ラムチョップ」と呼ばれるのは、仔羊の「ラック（Rack）」と呼ばれる背中のロースと、あばら骨部分を骨付きで1本ずつカットしたものです。実は日本だけの使い方で、英語圏での名称はRib Chop（リブチョップ）、French Cutlet（フレンチカトレット）。フランス語だとCotelettes d'Agneau（コートレット・ダニョー）等様々な名称で呼ばれています。

Why do they call it lamb chop in Japan?

昔々、羊肉の消費量がそこまで多くなかった時代。輸入業者が特定の部位（ラムラック）を高級食材として扱う流れがありました。そのため、「ラムチョップ」という名称が特定のカットに限定されて定着してしまったのです。骨付きで切り分けられた仔羊肉の総称を「ラムチョップ」と言いますが、実際は部位別に様々なチョップの呼び名があります。

例えば、

・ロインチョップ（Loin Chop）
・ショルダーチョップ（Shoulder Chop）
・リブチョップ（Rib Chop）
・バーンズリーチョップ（Barnsley Chop）
・サーロインチョップ（Sirloin Chop）
・ネックチョップ（Neck Chop）

などなど（まだまだ有ります）、カットする骨付き部位により細かく名称が異なるのです。なので、ある国のマーケットでラムチョップをオーダーするとショルダーチョップを渡されたりしますのでご注意を。

Various standards for lamb chops

今回は様々なラムチョップを楽しんで頂きましょう。品種や月齢、性別などいつもの比較ではない、羊肉専門店がカットするバラエティー。様々なカット方法で使い勝手が異なるラムチョップ。改めて羊の世界って深いですね・・・

頭に思い浮かぶだけでも、さまざまなカットでラムチョップの楽しさを表現できますが、今回はベースとなる一つの規格を決めます。それが、

・ラム「フレンチ」ラック

フレンチとは？あばら骨から肉と脂肪を取り除くき、骨を手で持って食べられるようなスタイルにした、みなさんが良く目にするカット。日本ではこの形がラムチョップとして定番。フレンチトリム加工と言います。いつもは、塊（8リブ）と、カット（2本）入りをいつもご紹介しておりますが、今回はそれらも含め、いくつまの規格を特別にご用意致しました。

This time’s lamb chop selection

その前に、今回のベースとなる規格であるラムフレンチラックの「キャップオン」というカットについて、簡単にご説明します。ラックをカットする際に、脂肪層（キャップ）を残したものを指します。

脂のコクを楽しみたい人（ラムの濃厚な味を求める）、
調理時に脂を活用したい料理人（焼くときの香ばしさを活かす）、
ラム肉愛好者（見た目・味ともにリッチ）

これらの方にお勧めの規格です。

キャップオンは脂肪層をあえて残すことで、焼いた際にジューシーさとコクが増すカット。更に細かく言えば、ラックの「どの部分」をカットするかによってもキャラクターが変わります。それらも含め以下に今回ご用意した、「今回限りの特別カット」をご案内します！

今回使用したフレンチラックは、私お気に入りのオーストラリア・ヴィクトリア州・ジーロング産の仔羊。それも！1ブロックが1400gくらいの立派に育ったラックのみを使っております。このくらい大きく育ったラムは、甘みも旨味も仔羊としてピークの状態まで育っているので、満足感が違います！

脂の乗りも段違ですから、そこから過分な脂肪をトリミングし焼き易い状態にしておりますので、歩留まりを考えれば「いつもより」かなりお得な状態です！